薬学

【薬局・ドラッグストア】カウンターの奥の薬はなぜ手にとれないのか?

ドラックストアで市販薬を買うだろうか?
風邪薬、花粉症の薬、痛み止め、湿布薬、軟膏…など
今は病院・診療所で医者からの

処方箋をもらわなくても、
大体の市販薬は自身の判断で

薬を購入できる時代になった。

しかし、いざ薬局や
ドラックストアに来てみると、
レジやカウンターのうしろ、
ガラスケースの中にお目当ての薬が

置かれていて、
(なんだこれ、邪魔くせーな…)
(これ、勝手に持っていって

レジで購入しちゃいけないのだろうか…?)
と思う人もいるだろう。

今回は、薬局やドラックストアーで、
私達消費者が直接手に取れないところに

なぜ薬が置いてあるのか
について細々と綴っていこうと思う。

あらきぃです。
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Q. 勝手にカウンターに入って薬を購入しちゃ駄目なの?

理由が長くなるので、結論から言おう。

A. 駄目です。

正確に言うと、「駄目です。」と言うより、
欲しいから手にとった!レジへ。

→じゃあ、あげるね。お会計。
とはならない。この間に一工程、

薬剤師の介入が入ってくる。
そのへんの詳細を続きとして書いていく。

医薬品の区分

医薬品は大きく3つに分類される。
・薬局医薬品
・要指導医薬品
・一般用医薬品

と分かれる。

薬局医薬品

薬局医薬品は更に細かく分類すると、
・処方箋医薬品
・非処方箋医薬品
・薬局製造販売医薬品

がある。


今回は一般用医薬品や要指導医薬品について
焦点を絞って解説したいので、
あまり馴染みが無く、説明が煩雑な
非処方箋医薬品と薬局製造販売医薬品については割愛。

処方箋医薬品というのは、
ご想像どおり、医師から処方箋をもらって、
これを薬局に持っていって

調剤してもらう薬のことだ。
薬局やドラックストアでは処方箋がないと
購入することもできないし、

手に取ることすらできない。

要指導医薬品

あまり聞き馴染みのない言葉かもしれない。
だが、ちゃんと薬の箱に記載されている。

これが薬局やドラッグストアで取り扱っているが
消費者が自由に手にとって購入できない薬の正体だ。

要指導医薬品というのは、
処方箋なしでも薬局やドラッグストアでも

買えるが、
必ず薬剤師の対面による
書面または電磁機器

(iPadやパソコンみたいなやつね)
での情報提供義務が義務付けられている。


また、売り場での陳列に関しても、
鍵をかけた設備または

周囲1.2m以内に購入者が侵入できない設備に
一般用医薬品と分けて陳列と決められている。
空箱陳列ならば特に規定がないが、

実物ではこの様に決められている。

つまり、薬局やドラックストアが
カウンターやレジで隔てて、
薬を置くせいで消費者が

薬を自由に手にとったりできないのは、
薬剤師や店員、店側のいたずらや嫌がらせではないということだ。
そのへんを誤解しないでもらいたい。

しょーがねーだろ、医薬品医療機器等法で
決まってんだから。

一般用医薬品

多くの人が薬局やドラッグストアで、
ほぼ自由に手を取って自身の判断で

購入している薬といえば、一般用医薬品だ。

正直な話、ここが一番説明したいところだ。
ここを理解できたのなら、
あとは読まなくてもいい(極論)

一般用医薬品は更に細かく分類すると、
・第1類医薬品
・第2類医薬品
(指定第2類医薬品+第2類医薬品)
・第3類医薬品

と分類される。
では、どこ
消費者が直接手に取れる・取れないの基準なのだろうか?

答えとしては、
・第1類医薬品、
 指定第2類医薬品が
 直接手に取れない
・第2類医薬品、
 第3類医薬品は手に取れる

となる。

第1類医薬品

要指導医薬品と同じく、
これに属する一般用医薬品も
薬局やドラッグストアで取り扱っているのに、
消費者が自由に手に取ることのできない正体
である。

第1類医薬品というのは、
処方箋なしでも買えるが、
薬剤師による
書面または電磁的記録での情報提供が
義務付けられている。

また、売り場での陳列に関しても、
鍵をつけた設備または周囲1.2m以内に
購入者が侵入できない設備に陳列と

決められている。
これも空箱の販売ではその限りではない。

第2類医薬品

第2類医薬品は少しややこしい。
難しい人は下2点をなんとなく理解して
読み飛ばしてくれればOK

・指定第2類医薬品は直接手に取れない
・第2類医薬品は自由に手に取ることができる

指定第2類医薬品

要指導医薬品、第一類医薬品と同じく、
こちらも消費者は自由に手に取ることは

できない。

販売の際の
薬剤師や登録販売者からの情報提供は、
努力義務であるので、欲しいといえば
場合によってはそのままお会計が

始まる場合もある。

陳列についても
2つより規制が緩やかになっていて、
情報提供を行う設備から7m以内の範囲または
鍵をつけた設備に陳列とされている。

まぁ、ぶっちゃけると、規制がゆるいにせよ、
薬剤師や店側の話であって、
手に取れないという面から陳列については、
消費者には要指導医薬品も第1類医薬品も大差ない。

第2類医薬品

これと後述の第3類医薬品が、
消費者が自由に手にとり購入できる薬である。
情報提供については努力義務であるので、
欲しいといえば、

おそらくそのまま会計が始まると思う。

第3類医薬品

こちらも第2類医薬品と同じく、
消費者が自由に手にとり購入できる薬である。
情報提供については特に規定はされていない。
レジに持っていけば

そのまま会計がスタートする。

ちなみにだが、情報提供については、
薬剤師や登録販売者に課せられているものであるので、
購入者側、つまり私達が、
「ある薬を飲んでるけど、
 この薬との飲み合わせは大丈夫かな…?」
「過去にアレルギーがあったのだけど、
 この薬は大丈夫かな…?」
「この薬の使い方がわからない…」
「同じような効能の薬があるけど

 どれがいいの?」
…などなど
このような疑問があったら、
どの区分の薬でも遠慮せずに聞いて大丈夫。

どんな基準で区分けされてるの?

ここまで読んできて、
消費者が自由に薬を手にとって購入できないことが

薬局やドラックストアの嫌がらせではない
ことを
重々わかってもらったと思う。

ここでは、
「じゃあ、その区分けされている基準ってなに?」
「具体的にどんなものがあるの?」
という好奇心を満たすために書いていく。
もうお腹いっぱいという人は読み飛ばして、
まとめに入ってもらって構わない。

要指導医薬品

一応定義が医薬品医療機器等法で
定められているので、示しておく。
長文アレルギーの人は、
後に解説するので読みとばしても大丈夫。

次のイからニまでに掲げる医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであつて、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものであり、かつ、その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
イ:その製造販売の承認の申請に際して第14条第8項に該当するとされた医薬品であつて、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
ロ:その製造販売の承認の申請に際してイに掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品であつて、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの
ハ:第44条第1項に規定する毒薬
ニ:第44条第2項に規定する劇薬

医薬品医療機器等法

まぁ、つまるところ、
新しく作った薬を販売する際に、
厚生労働大臣から許可を得て市場に出すのだが、
・認可した当初ではわからない
・市場で使われてみないと予期できない
・副作用が後に出るかもしれない
・本当にこの薬が効くのか
と、市販したあとのデータを集めて評価する
製造販売後調査がある。
この期間、だいたい6年ぐらいであるのだが、
その期間中の薬の区分として設けられているのが要指導医薬品ということだ。

その他には、毒薬・劇薬などもここに該当する。
毒薬・劇薬というのは、
治療に用いる量(有効量)と、
体に毒性が発揮される量(中毒量)が

極めて近い薬のことだ。

例をあげると…

プレミフェン:https://www.zeria.co.jp/patient/product-use/others/, http://prefemin.jp/
ガラナポーン:https://www.daito-p.co.jp/product/garanapon.html

一般用医薬品

これも一応定義を示しておく

・第1類医薬品

その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうちその使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの及びその製造販売の承認の申請に際して第14条第8項に該当するとされた医薬品であつて当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

医薬品医療機器等法

・第2類医薬品

その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第1類医薬品を除く。)であつて厚生労働大臣が指定するもの

医薬品医療機器等法

・指定第2類医薬品

第2類医薬品のうち、特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものをいう。以下同じ

医薬品医療機器等法施行規則

・第3類医薬品

第1類医薬品及び第2類医薬品以外の一般用医薬品

医薬品医療機器等法

読んでみてわかると思うが、明確な基準は存在しない
つまり、厚生労働大臣のさじ加減ということだ。
もちろん一人で決めているわけではない。
薬事・食品衛生審議会というものを開き、
専門家の意見を参考にして決めている。

これも例をあげておく

・第1類医薬品

ガスター10:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/gaster/

実は、有名なガスター10、
薬局で薬剤師からの情報提供なしには買えなかったりする。
意外でしょ?

・指定第2類医薬品

ボラギノールA 坐剤:https://www.borraginol.com/

・第2類医薬品

ボラギノールM座剤:https://www.borraginol.com/

ステロイド入りのボラギノールA坐剤は
指定第2類医薬品。
恥ずかしいかもしれないけど、薬剤師に購入の意図を伝えないと買えません。
ステロイドのないMは第2類医薬品なので

こっそり買えます。
何れにせよ痔は早めに直しておくこと。
ちなみに俺は痔になったことないです。

毎日健康。

・第3類医薬品

ヨクイニンタブレット:https://www.kracie.co.jp/ph/yokuinin/wart/products01.html

漢方薬も日本薬局法に登録されているものは
立派な医薬品。
一般用医薬品のものは

ちゃんと区分されています。

まとめ

要指導医薬品
 第1類医薬品
 指定第2類医薬品
 直接手にとることはできない

直接手に取ることが
 できないのは
 医薬品医療機器等法

 決まっているから。
 決して意地悪や

 嫌がらせではない

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