薬学

【事前準備】花粉症を軽減・対策するには

今年こそは花粉症(スギ)に勝ちたい!

オミクロン筆頭にコロナが流行しているから、
くしゃみばかりしていられない!
そう思っている人もいるだろう。

最中はマスクやメガネで物理的に防御したり、
薬で対症療法的に軽減するとしても
事前には対策できるの…?

今回は、花粉症がピークを迎える前に
事前に対策ができる方法を綴っていこうと思う。

なぜ花粉症は起こるのか?

そもそもなぜ花粉症は起こるのか?
対策を紹介する前に
その仕組みについて綴ろうと思う。

仕組みとかどうでも良くて、
手っ取り早く対策を知りたい人は
飛ばしても大丈夫

 

花粉症の原因にもなる花粉は
人体にとって不要なもの(抗原)なので、
排除するために体内で抗体(IgE抗体)が作られる。
IgE抗体は、 体内の肥満細胞にもくっつき、
ヒスタミンの遊離を促進させる。
また、花粉が肥満細胞に直接
くっつくことによっても、
ヒスタミンの遊離を引き起こす。
遊離したヒスタミンはH1(ヒスタミン)受容体に結合し、
くしゃみや鼻詰まり、かゆみを引き起こす。
これが花粉症のメカニズムだ。

 

結論

個人的には

レーザー治療

がおすすめ。

理由や他の対策をこれから綴っていく。

この記事で紹介する対策は、

  • レーザー治療
  • 抗体製剤(オマリズマブ)
  • 舌下免疫療法(シダキュア)

各特徴を簡単に表にもまとめておく。

 

レーザー治療

これが一番手っ取り早くて、効果が絶大。
おまけに保険適用だから、
3割負担(約10000円)で行える。
効果も長く、6ヶ月は続く。

鼻の粘膜をレーザーで焼き、
粘膜を引き締め、鼻の中の空間を増やすことで、
鼻詰まりを軽くしたり、鼻水の分泌を減らす。
また、鼻の粘膜を変性させるので
花粉をくっつきにくくする効果もある。

鼻の粘膜を焼くと書くと 痛そうに感じるが、
施術の前に麻酔を用いるし、
痛みを感じたとしても 輪ゴムで弾かれたぐらいの痛み。
施術時間も30分もかからない。

注意してほしいのは、
鼻炎の症状が出ている最中には行えない
ということだ。

花粉症の症状が出ているときに施術を行うと、
一時的に悪化するので、
スギ花粉の場合、秋~冬に行う必要がある。

また、一応やけどであるので鼻粘膜が腫れ、
2, 3日は鼻汁や鼻詰まりの症状がある点も 留意しておくこと。

 

抗体製剤

オマリズマブ(商品名:ゾレア)という 皮下注射型の製剤。

こちらも非常に高い効果が期待できるが、
投与条件が厳しく設定されているので
花粉症なら誰でも使えるわけではないのが難点。

また、非常に高価で、
1シーズンに3回(2~4月に月1回)投与の場合で、
約7万円かかる。

投与数日後~2週間後に効果が出始め、
効果の持続期間は1ヶ月と言われている。

作用機序としては、
オマリズマブがIgE抗体に結合することで
肥満細胞の表面にあるIgE受容体-IgEの結合を妨げ、
アレルギー反応を抑制する。

肝心の投与条件は添付文章上では、

〈季節性アレルギー性鼻炎〉
5.2 最新のガイドライン等を参考に、以下のいずれにも該当する患者に、ヒスタミンH1受容体拮抗薬に追加して投与すること。[17.1.5 参照]
・原因となる花粉抗原に対して血清特異的IgE抗体検査等で陽性を示す
・過去の治療において、花粉抗原の除去と回避を行ったうえで、鼻噴霧用ステロイド薬とケミカルメディエーター受容体拮抗薬を併用しても、重症又は最重症のアレルギー性鼻炎症状が認められた
・体重及び初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2290400G1021_1_06/

つまり、

  • スギ花粉のアレルギー検査(血液検査)の結果が陽性
  • 花粉症の治療を行ったが、効果不十分
  • 12歳以上で、血清のIgE抗体濃度が30〜1,500IU/mL、 体重が20〜150kgの範囲

を満たして初めてオマリズマブを処方するかの判断がされる。

このように効果が高くとも、
基準が厳しい、かつ高価であるので、
自分の花粉症の重症度を理解している
かかりつけ医などがいて、
お財布に余裕がある人が行うのがいいだろう。

 

舌下免疫療法

2つが毎シーズンの対策に対して、
こちらは根本治療
功を奏すれば、
花粉症が治ったり、軽症になる。
一方で、
花粉が飛んでいる時期は
新たに治療を開始できないこと、
服用方法が煩雑であること、
長く治療を続くなければいけないことが
欠点。

シダキュアという花粉が入った錠剤を
舌にのせて服用することで、耐性をつけて
花粉への反応を鈍くする方法。

よくわからない人は、
ウイルス本体や断片を接種して
免疫をつけるワクチンのようなものだと
考えてくれればいい。

この治療は、花粉を取り込む治療であり、
花粉が飛んでいる1~5月には
体が敏感になっているので、
治療を開始できない。

治療期間は目安3~5年と長いが、
効果は10年と長い。
一応、治療期間を短くすることもできるが、
その場合は、効果も短くなる。

服用方法が煩雑で、服用後の行動制限もあり、

舌の上で1分間保持した後、飲み込む。
その後5分間は、うがいや飲食を控える。

こととなっている。
このような服用が3年以上毎日続くので、
まめでない人は難しいだろう。

上2つは毎シーズン前の対策であったが、
こちらは根本的に治療したい人におすすめ。

…とここまで
大変だが頑張れば、
花粉症に絶大な効果があるように書いたが、
実は効果があるのは80%の人で、
残りの20%はほとんど効果が出ないらしい。
もし治療を検討しているのであれば、
効果がないかもしれないことを
覚悟してから始めること。

ダニアレルギーがある人へ

実は、ミティキュアという
シダキュアのダニアレルギー版の舌下錠もある。

ダニアレルギーが酷いと言う人は、
医師に相談してみるのもいいかもしれない。

 

まとめ

個人的におすすめしたいのは、

レーザー治療

1万円で照射したシーズンは
花粉症に悩まされなくなるというのがいい。

生涯レーザーで毎シーズン1万払うのは
ちょっと…と考え、
花粉症を根治したいなら、
舌下免疫療法もいい。
しかし、少なくとも3年毎日忘れずに服用を
続けられるだろうかと考えなければいけない。

また、治療しても20%の人は
効果がないというのも厳しい。

抗体製剤は、花粉が飛んでいる最中も治療できるのは
強みだが、やはり高い。
花粉飛来最中のしのぎとしてはいいが、
花粉が去ったら、レーザーか舌下免疫療法を
考えるべきだ。

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