薬学

【五苓散】低気圧の不調に効く漢方(+α 二日酔いにも)

台風が接近中(2022年9月19日)

台風といえば、爆弾低気圧。

低気圧による不調が全く気にならない人もいれば、頭痛で寝込む程の人もいる。

そこで今回は、低気圧で不調の人に効く漢方を綴っていこうと思う。

また、二日酔いの予防としても使えるので、酒好きな人も必見だ。

 

低気圧で不調になる理由

まずは、なぜ低気圧によって頭痛やむくみ、倦怠感、めまいなどの体調不良がおこるかのメカニズムについて紹介していく。

図の左のように普通の気圧では、外と内のバランスが取れていて、

  • 水が減れば、貯水
  • 増えれば、尿などにして排出

と身体がうまく調節してくれている。

しかし、図の右のように低気圧で、外と中の気圧バランスが崩れると、

  • 血管への圧力が下がって、細胞側(身体)に水分が移動→浮腫(むくみ)
  • 浮腫による脳神経圧迫→頭痛
  • 低気圧を内耳から感じ取り、脳に伝達→ストレスと感じることによる自律神経の変化
  • 自律神経変化→副交感神経優位による血管拡張
  • 血管拡張で脳神経圧迫→頭痛

…などなど様々な不調が起こる。

ちなみに浮腫は東洋医学では水毒と呼ばれている。
体液が偏っている状態、つまり体内の水分の代謝障害が起こった状態を示している。

 

五苓散で利水

このように水が偏った状態を改善するのが五苓散(ごれいさん)だ。

五苓散は利水薬として用いられ、体内の余分な水分を尿にして排出してくれる。

服用のタイミングとしては、だるさを感じるなど症状が軽いうちに服用するのがおすすめ。漢方であるので、効果が出るのに時間がかかるからだ。(五苓散は漢方の中でも比較的早く効くとはされているが)

また、漢方の中には、暑がりの人に使ったり、虚弱な人に用いるなどその人の状態に合わせた服用が必要だが、五苓散は、体力に関係なく使えるのが素晴らしい。

(ツムラ五苓散添付文書:五苓散https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/item/PI_N-017_304017.pdf

もし、既に薬を使っていたり、健康食品を摂っているなら、お薬手帳を持参して医師や薬剤師に相談するのをお忘れなく!

 

どこで買える?

ドラッグストア、薬局、加えて、Amazonなどのネットスーパーでも買える。

少し話が逸れるが、現代的な漢方製剤の利点として、病院に行かなくてもドラッグストア等で買えることが挙げられる。
(病院で処方される漢方の方が成分量が多いという違いはあるが)
インターネットの情報だけで不安を感じていても、ドラッグストアでは、薬の知識をもつ薬剤師や登録販売者に相談できる。
また、コロナが落ち着いてきたとはいえ、病院に行くのが心配な人にも安心だ。

 

利水薬?利尿薬?

利水薬?利尿薬と違うの??と感じただろうか。

フロセミドやトリクロルメチアジドなど西洋医学で用いられている利尿薬は強制的に排尿させるのに対し、五苓散や防已黄耆湯などの利水薬は、

  • 過剰な水分→尿にして排出
  • 水分不足→尿を強制的に出さずに体内に貯めておく

このように体の水分バランスに応じた利水作用があるのだ。

じゃあ、全部利水薬でいいじゃん!と思うかもしれないが、漢方は効果に時間がかかるので、すぐに尿を確保したい手術後や、高血圧の治療のために強制的に尿を出したい時には、利尿薬の方が適任である。

 

科学的な五苓散の作用

漢方ってスピリチュアルでしょ?本当に科学的なエビデンス(根拠)あるの??と思っているそこのあなた。

安心してください、五苓散には科学的なエビデンスがあります!!

『五苓散のアクアポリンを介した水分代謝調節メカニズム』
https://cir.nii.ac.jp/crid/1520854805706947584
http://tenaca-nips-2016.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20160721194640-D17B122C31B8CA2C122466395549FDA35119761AE271BFC51A140EDC8845940F.pdf

読むのがめんどくさいよ!という人向けにざっくばらんに。

体の各細胞内外への水の移動にはアクアポリン(AQP)という水チャネルが関わっている。五苓散は、このAQPを阻害することで、浮腫の方へ進もうとする水の動きを阻止している。

漢方の中にはなぜ効くのか科学的に説明できないものもあるが、五苓散はしっかりとエビデンスがある薬ということがわかるだろう。

 

錠剤タイプ(苦いのが嫌な人へ)

五苓散すごいけど、漢方って苦いから嫌いなんだよなぁ…という人へ。

最近では、錠剤タイプも販売されている。ご検討あれ。

 

+α 二日酔いにも効く

西洋医学では二日酔いを体内にお酒が水分として残っている水毒として考え、五苓散を用いる。

服用タイミングとしては、お酒を飲む前に服用するのがおすすめ。一応、二日酔いになったあとでも効くが、嫌な思いをする前に予防的に飲んでおいたほうがいいだろう笑

(ちなみに筆者も友人と飲み会に行く前に五苓散を飲んでいる笑)

 

まとめ

  • 低気圧による頭痛やだるさに五苓散
  • 二日酔い予防に五苓散

五苓散は体力に関係なくオールマイティに使えるし、漢方なので病院に行かなくても買える。また、最近では、漢方の味が苦手な人用に錠剤タイプもあるので、一つ備えてみてはいかがだろうか?

 

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